人と木

私たちの多くは木造住宅で暮らしたいと思っています。木の住まいに人気が集まるのは、人と木の相性がとてもいいからではないでしょうか。木のある環境の快適性や健康なイメージにはどんな科学的背景があるのでしょう。主なものを見てみましょう。


 
木の教室がいい感じ 木造校舎と鉄筋コンクリート造校舎における生徒の印象
 
 中学生を対象に自分の教室の印象を評価してもらったところ、木造校舎の生徒の方が鉄筋コンクリート造校舎の生徒よりも「あたたかみ」や「落ち着き」などのよい印象を感じ、より快適な印象を持っていることが分かりました。木造校舎は温度や湿度を調整したり衝撃を和らげるなど、すぐれた性質をたくさん持っていますから、木の教室で勉強すれば勉強だってはかどりそうですね。
 
木のある暮らしは健康のひけつ 特別養護老人ホームにおける入居者を対象とした施設の木材使用度別の心身不調出現率比較
 
 ある老人ホームで、心身の不調やけがについて調べたところ、木材がたくさん使われている施設の方がインフルエンザやけが、不眠などの発生率が低いという調査結果が出ました。
 高齢化社会を迎えるこれからは、人にやさしい木の空間に暮らすことが、健康で長生きできるひけつかもしれませんね。
 
木の空間で長生きできる? 素材の異なるケージでマウスの生存率と成長
 
 マウスを使った実験によると、木でできた飼育箱で飼ったマウスの方が、金属やコンクリートの飼育箱で飼ったマウスより長生きできるという結果がでています。体重の変化で見ても、木の飼育箱の方がよく成長することが分かります。木の家に住めば、人だって長生きできそうですね。
 
木の環境がダニを寄せつけない フローリング改装前と改装後のダニ数の変化
 
 木の住まいには、ダニを寄せつけない効果があります。ある集合住宅の床をカーペットからフローリングにしたときの調査でダニが減少したという結果が出ました。木材の調湿効果や木材に含まれる成分が有効に働くと同時に、ダニの生息に適したすきまが無くなったことが、その理由だと思われます。ダニはアレルギーの原因の一つとも言われるだけに、清潔で健康な暮らしにも木は大いに役立っているわけです。
 
木の床は衝撃を吸収する 材料で違う衝撃吸収率
 
 毎日の暮らしの中では、思わぬアクシデントに遭遇することがあります。たとえば、転んで床に頭をぶつけるなどという事故もないとは限りません。そのとき、頭が床に激突するスピードは秒速4〜6m、その衝撃は200kgfにもおよぶといいます。ところで木材は衝撃を吸収する働きが大きい素材です。こんな特性からも、木材は床材に適した安全な素材ということができますね。
 
木造だって地震・台風・火事に十分耐える 木造校舎と鉄筋コンクリート造校舎における生徒の印象
 
 たとえば地震などの時には、古い木造住宅の数が圧倒的に多いので、木造住宅の被害が目立ちますが、適切に今の建築基準を守って建てられていれば、木造住宅も十分な耐震・耐風・防火性能を持っています。木造がほかの工法に比べて劣っているいうことはありません。
 特に火事が起きてしまったとき、木材は短時間の加熱で変形しません。また、断面が大きい木材は表面が燃えても中まで火が及ぶのに時間がかかるため、短時間で家が崩れ落ちることはありません。